岡山の文学賞


坪田穣治は明治22年に今の岡山市島田で生まれた作家です。
岡山市民の方ならご存じの方も多いと思うのですが、
私は岡山に来るまでお名前を存じ上げませんでした。


この方の特徴は、大人向けの小説だけでなく、子ども向けのお話を
書いたことが特徴です。童話や児童文学というよりは、もう少し年齢対象が
上の文学。今で言う、ヤングアダルトの開拓者とも言うべき人です。


代表作は、『お化けの世界』『風の中の子供』『子供の四季』
恥ずかしながら、私は読んだことがありません。


岡山市では、昭和59年から坪田譲治の功績をたたえ、創作活動の奨励と
市民文化の向上のために「坪田譲治文学賞」を創設しています。
受賞者には、メダルと賞金100万円が授与されます。


坪田譲治文学賞の選考基準は、「大人」も「子ども」も共有できる文学作品。
受賞作品は、読みやすい作品が多く、私はかなり好感が持てる文学賞だと
勝手に思っています。


この文学賞は、児童文学・ヤングアダルト部門の登竜門とも言うべき
作品で、坪田譲治文学賞受賞者は、その後有名になる方が多いとも言われて
います。でも、私はあまり文学についてよく知らないため、偉そうに
語れません(汗)。


私が読んだことのある坪田賞受賞作のつたない感想を…


第19回受賞(2003年)- 長谷川摂子 『人形の旅立ち』


長谷川摂子さんは、絵本の作者として有名な方で、『めっきらもっきら
どおんどん』や『きょだいなきょだいな』の文も担当されています。
「人形の旅立ち」はオムニバス形式で、人の心の「ふるさと」を辿っていく
ような作品。金井田さんの繊細な挿絵が、物語にぴったりです。


第20回受賞(2004年)- 那須田淳 『ペーターという名のオオカミ』


那須田さんは、本嫌いだった私が小学生のときに唯一読んだ『ボルピィ物語』
の作者です。こちらも、小学校中学年向けの楽しい話なのでオススメ。
『ペーターという名のオオカミ』の舞台はドイツ。那須田さん自身もベルリン
にお住まいだそうです。ある一匹の子どもオオカミが脱走することによって、
話は展開していきます。ベルリンの壁崩壊の歴史もふまえた読み応えのある
内容。でも、読み終わったときは、スーッとします。


文学賞」と聞くと、とても堅苦しく聞こえがちなのですが、坪田譲治文学賞
は、文学を身近に感じさせてくれるような本が受賞されているように思います。
岡山市は財政難ですが、こういう良い文化事業はぜひとも継続していただきたい
と心から願っています。


みなさんも、坪田賞受賞作に目を通されてみてはいかがでしょうか。私は、
18回受賞作「麦ふみクーツェ」を持ち歩いているだけで、全然読めてません・・・。